国語の教科書

国語の教科書は宝箱だ。


道徳の教科書みたく押し付けがましくなくて
算数の教科書みたく答えは載っていない。


学年が上がる度出逢う教科書に
ワクワクしたものだ。


「ヤドカリ探検隊」のソーミンチャンプルーがたまらなく美味しそうで
家に帰って早速鍋を振ったことを憶えている。


宮沢賢治の「やまなし」のクラムボン
あまりに美しくて
絵本にでもなっていないかと探した。


ねじめ正一の「八月の蠅取紙」に出てくる乾物屋や
梶井基次郎の「檸檬」に出てくる八百屋なんて
何処にこれほどまでに魅力的な店があるものかと
思わず溜息が漏れた。



あの薄い紙の束に印刷された世界は
こんな華奢な文字が紡いでいるとは思えない厚さだ。




少年少女たちよ、
作者の意図なんてどうだっていい。
ごくごくと読み干しなさい